つもり

あるけちん坊な男がおりました。

毎日毎日、飯時になるとうなぎ屋の前へ出かけて行っては、腹いっぱい匂いを嗅ぎ、家へ飛んで帰ってご飯を食べるのでした。

それに気がついた鰻屋の親父は、「なんちゅうケチだ。よし、あのような奴から匂いの嗅ぎ賃をとってやろう」と、早速帳面につけておき、月末になると嗅ぎ賃を取りにやってまいりました。

すると、けちん坊な男は、「俺は鰻屋に借金はないぞ」

「いやいや、これは、蒲焼きの嗅ぎ賃でございます。えー、締めて八百文。匂いを嗅いで食べたつもりになっておられますので、こちらも、食わせたつもりで銭を取りに来ました」

鰻屋が、すまして言うと、男は仕方なく、懐から八百文取り出し、いきなり板の間へ放り出しました。

チャリン。

お金が、景気のいい音を立てるのを聞いてから、けちん坊な男は、

「それ、撮ったつもりで、銭の音を聞いて帰んな」

篆書体印鑑は独特でありながら、銀行印サイズ印相体のように読みづらくない、美しい書体です。印鑑 15mm実印では印相体に次いでよく用いられます。